2009年12月25日 07:35

クリスマスイブにもかかわらず実りのないネット徘徊をしておりましたところ、お友達がSteamのプレゼント機能を使ってゲームを贈ってくださいました。
プレゼントをしたことはあってもされることは初めてだったので非常に嬉しかった訳ですが、その贈られた作品というのが「The Graveyard」ということで、後々になって考えてみたら単なる嫌がらせだったのかもしれません。ひどい。
簡単に説明しますと、これはベルギーのインディーズデベロッパが試験的に開発した作品。
「老婆を操作して墓地の中を歩き回り、ベンチに座り、ボケーッと呆けるだけ」というある意味衝撃的な内容になっています。
もちろん主人公のお婆ちゃんは懐からデザートイーグルを取り出したりしませんし、墓石の下から腐敗したゾンビも出てきません。
あくまで「アート作品」として製作されており、「ゲーム作品」という解釈で見ると残念な思いを味わうことになるでしょう。

とりあえずお婆ちゃんを操作してみます。
足腰が弱いらしく、かなり動作が鈍いです。まぁ、老婆がストレイフジャンプで高速移動し始めたら単なる妖怪にしか見えませんので、これはこれで良いでしょう。
まっすぐに進むとベンチがあり、そこに座らせます。すぐに郷愁感が漂うBGMが流れ始めるので、年輪を刻んだお婆ちゃんの顔のアップを眺めつつ、彼女の半生を想像しましょう。

しばらくすると彼女は静かに息を引き取り、ポックリとお逝きになられます。
その後は何も起こりません。「たけしの挑戦状」のように、1時間放置したら何か起こる訳でもありません。
風の音、鳥の鳴き声、そして老婆の亡骸がそこに在るだけです。
そもそも全ての「アート作品」というものは、世に出た時点で作者の手から離れ、それを見、聴き、触れた者たちの中でそれぞれ解釈されるのが宿命であり天命であります。
このThe Graveyardも「受け手が何を想い感じるのか」のみに焦点を合わせて製作されている為、提供される情報を受動的に処理するだけでは作品の本質に迫ることはできないでしょう。
この老婆は幸せだったのか。それとも不幸だったのか。
墓地をステージに選んだ理由。そして作品の背景。
映像作品ではなく、敢えてゲーム作品と同じ仕様でリリースした製作者の意図。
そもそも意味があるのか。無いのか。
それらのクエスチョンに対しての答えは、能動的に受け入れたプレイヤーの数だけ存在します。
The Graveyardはそんな作品なのです。
スポンサーサイト
最近のコメント